前回の記事で、VSCodeにMicroPicoをインストールして、Raspberry Pi Pico(W)を開発環境に接続する方法をご紹介しました。
今回はその続編として、MicroPicoを使ったファイル操作の方法を中心に解説します。
Thonnyを使っていた方なら、「あのファイル一覧やアップロードはどこ?」と感じるかもしれません。
本記事では、
- Thonnyとのファイル操作の違い
- プロジェクトフォルダの作り方と使い方
- Pico本体内ファイルの操作方法(Toggleの使い方)
- アップロード/ダウンロードの手順
を、図解付きで初心者にも分かりやすく解説します。
Thonnyとのファイル操作の違い
| 項目 | Thonny | VSCode + MicroPico |
|---|---|---|
| 接続 | 自動認識(簡単) | 初回にプロジェクト設定が必要 |
| ファイル表示 | 自動で本体とPCの両方を表示 | 「Toggle」で切り替え |
| ファイルアップロード | ドラッグで転送 | コマンド or ボタン操作 |
| 補完機能 | なし(シンプル) | あり(予測変換・コード補完) |
Thonnyは「PicoをUSBメモリのように扱う」感覚ですが、
VSCodeのMicroPicoでは「プロジェクトと本体を同期させる」というイメージになります。
プロジェクトフォルダを作成する
- VSCodeで新しいフォルダを作成(例:
pico_test) - コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)を開き、
MicroPico: Configure Projectを選択 - 自動で
.vscodeと.micropicoフォルダが生成される
フォルダ構成の図解(ローカル側とPico本体側の関係
以下は、MicroPicoを使って開発を進める際のフォルダ構成を表した図です。
【ローカルPC側(VSCode ワークスペース)】
pico_project/ ← 自分で作成したプロジェクトフォルダ
├─ .vscode/ ← MicroPicoの設定ファイルが自動生成
│ └─ settings.json
├─ .micropico/ ← MicroPicoが管理用に作成する内部フォルダ
├─ lib/ ← 使用するライブラリを置く(任意)
├─ main.py ← Pico起動時に実行されるメインスクリプト
└─ test_led.py ← テスト用スクリプトなど
【Raspberry Pi Pico(W) 本体側(Toggleで表示)】
Pico(W) Remote Filesystem/
├─ lib/
│ ├─ your_library.py
├─ main.py ← 自動実行ファイル(ローカルからアップロード可)
└─ test_led.py ← 手動アップロードしたスクリプト💡この設定により、MicroPicoはこのフォルダを「Picoとの同期対象」として認識します。
以降、このフォルダ内に作った .py ファイルをPicoへ送ることができます。
vscode の下部にこのような表示がでます。

Pico本体内のファイルを表示する(Toggleの使い方)
- コマンドパレットで
MicroPico: Toggle Pico-W-FSを選択 - VSCode左側に「Pico(W) Remote Filesystem」というフォルダが現れます
- Pico内部のファイル一覧を表示
右クリックで 削除(Delete) や ダウンロード が可能です
💡Thonnyの「Raspberry Pi Pico」側のペインと同じ感覚で操作できます。
ただし、MicroPicoでは手動でToggleする必要があります。
ファイルをアップロードする(PC→Pico)
- プロジェクトフォルダで
.pyファイルを作成(例:main.py) - コマンドパレットから
MicroPico: Upload Project to Picoを選択 - アップロード完了メッセージが出ればOK
💡複数ファイルも一括で転送可能です。
個別にアップロードしたい場合は、ファイルを右クリック → Upload to Pico でも可能です。
ファイルをダウンロードする(Pico→PC)
- ToggleでPico内部を表示
- ダウンロードしたいファイルを右クリック →
Download to Workspace - プロジェクトフォルダ内に保存されます
※ Thonnyと違い、Pico内のファイルを自動で同期はしません。
必要なときに手動でダウンロードする形になります。
ファイル削除や上書きの注意点
Pico内部で削除したファイルは元に戻せません
上書きする場合は、同じ名前で再アップロードすればOK
main.py があると起動時に自動実行されます(Thonnyと同じ)
🧭 まとめ文
VSCode+MicroPicoを使えば、Thonnyよりも高機能な環境でRaspberry Pi Pico(W)を操作できます。
最初は「Toggle」や「Upload」などの操作が少しわかりにくいですが、慣れてしまえば
コード編集・補完・転送がすべてVSCode上で完結します。
MicroPicoのプロジェクト構成を理解しておけば、
複数のPicoやESP32なども同じ手順で扱えるようになります。
ぜひこの機会に、**「VSCodeでPicoを自在に操作する開発スタイル」**を体験してみてください!



