家庭内や小規模オフィスでファイルを簡単に共有したい。でもUSBメモリやクラウドでは不便。そんなときに便利なのが、ラズベリーパイとSambaを使ったファイルサーバです。この記事では、Windowsからもアクセス可能で、セキュリティにも配慮したファイルサーバの構築方法を、初心者にもわかりやすく解説します。
【使用する構成】
- Raspberry Pi (3, 3B+, 4 など)
- Raspberry Pi OS (32bit版)(Lite版がおすすめ) がインストールされたmicroSDカード
- LAN (例: 192.168.1.100)
- 共有ディレクトリ:
/home/pi/share
- アクセスするPC (Windows, macOS など)
事前準備
Raspberry PiにRaspberry Pi OS (32bit版) がインストールされ、SSHが有効になっている必要があります。まだの場合は、以下の手順で準備してください。
Raspberry Pi OSのインストール
Raspberry Pi Imagerなどのツールを使い、初期設定で無線ランを使う場合無線ランの設定、SSHの設定を有効にし、Raspberry Piの公式サイトから32bit版のRaspberry Pi OSをSDカードに書き込みます。今回パイOSのIDはpiという名前で設定したことを前提に設定して行きます
ネットワーク接続の確認
Raspberry Piが家庭内ネットワークに接続されていることを確認し、IPアドレスを調べておきます(ルーターの設定画面や、ifconfig
コマンドなどで確認できます)。
ファイルサーバーソフトウェアのインストール (Samba)
ここでは、WindowsやmacOSなどの一般的なOSからアクセスしやすいSambaというソフトウェアを使用します。
Raspberry PiにSSHで接続
お使いのPCからSSH専用ソフトまたはコマンドプロンプト(Windows)を開き、以下のコマンドを実行してRaspberry Piに接続します。<your_raspberrypi_ip>
は、先ほど調べたRaspberry PiのIPアドレスに置き換えてください。
コマンドプロンプト(Windows)
ssh pi@<your_raspberrypi_ip> # pi@192.168.1.100 例えば
SSH専用ソフトTera Term

パスワードの入力を求められた場合はOSのインストール時に設定したIDとパスワードを入力してください。
Sambaのインストール
接続後、以下のコマンドを実行してSambaをインストールします。
sudo apt update
sudo apt install samba -y
共有フォルダの作成(例:/home/pi/share)
mkdir -p /home/pi/share
chmod 777 /home/pi/share # 誰でも読み書き可能に
Samba設定ファイルを編集
sudo nano /etc/samba/smb.conf
ファイルの末尾に、共有したいフォルダの設定を追加します。例えば、/home/pi/share
というフォルダを共有する場合、最後の部分でいいと思います以下のように記述します。
[Share]
path = /home/pi/share
browseable = yes
writable = yes
guest ok = no
valid users = pi
[share]
: 共有名(ネットワーク上で表示される名前)。任意の名前に変更できます。path
: 共有したいフォルダのパス。browsable
: ネットワーク上で共有フォルダを表示するかどうか(yes/no)。writable
: 書き込みを許可するかどうか(yes/no)。guest ok
: ゲストアクセスを許可するかどうか(yes/no)。no
に設定することで、ユーザー認証が必要になります。- valid users = piを入れることで、piの権限でアクセスできます。
Sambaユーザーの設定
sudo smbpasswd -a pi
- Samba用にパスワードを設定( 2回入力します)
- Windowsからの認証に使用されます
Sambaサービスの再起動
設定を反映させるために、Sambaサービスを再起動します。
sudo systemctl restart smbd
設定が完了したら、お使いのPCからファイルサーバーにアクセスできます。
ファイルサーバーへのアクセス
Windowsの場合
- Win + R を押す
\\192.168.1.100\Share
と入力- SambaのユーザーID:
pi
- Sambaで設定したパスワードを入力
※ \
はバックスラッシュです。/
や https://
にならないよう注意
ネットワークドライブとして割り当てる
エクスプローラーを開く(Windows + E
)
左側の「PC」を右クリック → 「ネットワークドライブの割り当て」 を選択
下記のように設定
- ドライブ:任意(例:Z:)
- フォルダー:
\\192.168.1.100\Share
- 「サインイン時に再接続する」 にチェック
- 「別の資格情報を使用して接続する」 にもチェック(最初の1回だけ)
- 「完了」をクリック
- ユーザー名(例:
mypi
)とSamba で設定したパスワードを入力
テストファイルを書き込(確認用)
echo "これはテストファイルです" > /home/pi/share/test.txt
これで、アプリケーションから ローカルドライブと同様にZ:ドライブとして利用可能になります。読み書き・保存も通常通りできます。
🟪 まとめ
Sambaは簡単に構築できますが、特にWindows側の認証周りで誤解も多い部分です。
保守性も考慮しながら、自宅内LANの便利なファイル共有サーバとして活用してみてください。